第22回:「注射で治す痔の治療」

お腹元気相談室

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Q

先日注射で治す痔の治療のことを耳にしました。これは新しい方法なのですか?以前からあった方法なのですか?手術しなくて注射で痔が治せるなら興味があるのですが詳しく教えてください。

A

『何?注射で痔が治せるだって?』とお思いの方は多いはずです。そうです。注射で痔が治せる薬ができたんです!というとびっくりかもしれませんね。

しかし、ここで言う”痔”はいわゆる”いぼ痔”のことであって”切れ痔(裂肛)”や”穴痔(痔ろう)”のことを指しているのではありません。

この注射療法は、”いぼ痔”いわゆる痔核の中でも『脱出を伴う内痔核』に対して『ジオン注』という注射を痔核とその周囲に注入して、痔を養っている栄養血管の血液量を減らし、さらに痔の中の血管を硬くして弛んでしまった直腸粘膜部に癒着・固定をさせる方法です。

◇注入方法に関して詳しくはオレン痔通信をご覧下さい。

この方法は実は以前からありました。中国の『消痔霊』という薬がそうです。自由診療にて自己輸入で使用していた肛門科の先生もいらっしゃいましたので、その名前を聞いた方もいるかもしれません。その『消痔霊』という薬に日本の製薬会社が改良を加え臨床治験を終えこのたび市販に出回るようになって来ました。ですからご質問にある今まであった方法か?という点に関していえば、前にもあったというのは事実です。

しかし一般的に、今まで痔の注射療法というと『出血が止まらない痔核』に対し硬化療法という名目で注射を打つという意味合いが強く、粘膜のたるみにより生じる痔核の脱肛に対しては手術療法しかない!と判断していましたので、その点では脱肛を伴う痔核の治療方法の選択肢が増えたことは事実です。

そして、すべての”いぼ痔”に有効な方法ではありません。当然適応や治療日数(日帰りか入院か)という点に関しては専門医の診察が左右することは言うまでもありません。

以下の表はおおよその『いぼ痔治療』の目安ですので参考にしてください。
いぼ痔の進行度(I度~IV度)に関してはコチラをご覧ください。

I度の治療
  • 便通の改善
  • 軟膏(座薬)により痔核の浮腫みを抑える
  • 出血に関しては注射硬化療法が効果的
II度の治療
  • 便通の改善
  • 軟膏(座薬)により痔核の浮腫みを抑える
  • 脱出が軽度であれば、ジオン注、ゴム輪結紮・術が有効
III度の治療
  • 便通の改善
  • ジオン注による治療
  • 過去に治療歴があり改善されていない場合や経過が長い例は痔核根本手術、PPHの適応
  • ただし身体状況が悪い場合に出血に対しては注射硬化療法
  • 脱出に対してはゴム輪結紮術を選択する場合がある
IV度の治療
  • 便通の改善
  • 外痔核が大きくないものはPPHの適応もあり
  • 過去に治療歴があり改善されていない場合や経過が長い例は痔核根本手術の適応
  • ただし身体状況が悪い場合に出血に対しては注射硬化療法
  • 脱出に対してはゴム輪結紮術を選択する場合がある


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