第21回:「便意はずっとあるのにいきむのが辛い」

お腹元気相談室

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Q

最近会社の健康診断でバリウムをのみました。もともと痔があったのですが、それ以来肛、門付近がすごく硬くなり、下剤を飲んでも前みたいに便がでなくなりました。バリウムが固まると言うのは、考えられますか?

また、便意はずっとあるのにいきむのが辛く、ずっと便を挟んでいるみたいです。これは痔以外の病気が考えられますか?

A

胃の検査のときに使用するバリウムは、硫酸バリウムと水と粘着剤を混ぜたものです。モゴモゴして決して飲みやすかったりおいしいものではありませんよね。

なぜ胃の検査にバリウムを使用するかというとバリウムはX線を通しにくい元素だからです。バリウムを飲むと食道→胃→十二指腸とバリウムは消化管を通過していきます。X線撮影によりその形態やバリウムの“ノリ”をみて内部の様子を診察するのです。

そして、なぜ硫酸バリウムを利用するかというと、それは、硫酸バリウムは水や胃液に溶けないからです。つまり硫酸バリウムは体内に吸収されることなく、そのまま、体外へ排出されるのです。しかしバリウムを薄めるために使用した水は大腸で吸収されてしまうため、バリウムは大腸の中で硬く乾燥してきてしまいます。もっとも大腸の検査にもバリウムは使用(注腸検査)されますが、検査後には速やかに体外にバリウムを排出させるために検査後に下剤を渡されます。

さて、硬くなってしまったバリウムは直腸膨大部(肛門の奥)に便とともに溜まりますが、当然肛門を通過する際に肛門が裂けてしまうことがあり、いわゆる “切れ痔”に悩むことが少なくありません。これは普段便秘で悩んでいない方にも起こりうることであり、ましてや日ごろ便秘で悩んでいる方にはなおさら悩みの種になってしまうのです。

いぼ痔(痔核)は排便時のりきみやにより肛門の奥(直腸との境)に生じた静脈のかたまりをいいます。うっ血し、膨らむと出血しやすくなります。この位置は基本的に痛みの神経がないところなので痛みは伴いませんが、内痔核の付け根の粘膜が緩んでたるんでくると、肛門の外に飛び出してきます。これを脱肛といいます。

うっ血は軟膏により炎症を抑えると軽快しますが、粘膜のたるみは薬では改善しないため、脱肛がある場合には手術による治療が必要となります。それに対し外痔核は、肛門周囲の静脈のかたまりです。肛門粘膜は痛みの神経が敏感なため、痛みを伴います。

今回のご質問の場合、切れ痔による痛みが主体だと思いますが、便が挟まったような感じというのは内痔核による粘膜のたるみ(脱肛)のことをおっしゃっているのかもしれません。

バリウムでの検査は消化管の検査において、非常に有効な検査であることは言うまでもありません。ですがこのように副作用もあり、なんといってもX線による被爆を考えると、「胃でも大腸でも内視鏡検査のほうがいい」と私は考えています。下記の胃カメラとバリウム検査の長所・短所の表を見てください。

 つまり、胃カメラ(内視鏡検査)にとっての短所(反射による苦痛)を取り除き検査を施行し、さらに、胃の動きや形の知りたいときに胃透視を付加すれば、それぞれの良いとこ取りになるわけです。

がんは早期発見・治療が有効であることは言うまでもありません。ですから本当は、ある程度の歳になったら胃カメラを施行していくのがもっともいいのです。(胃カメラを楽にしてくれる医療機関ならば…ね)

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長所
  • 胃の粘膜の色がわかる(これは診断するときにとても大きな助けになります)。
  • 組織検査が可能(顕微鏡検査ができます)。
  • 胃の全体の形がよくわかる。
  • 胃下垂や胃の伸びやすさがよくわかる。
  • 食道や胃の動き、食べ物の通る様子がよくわかる。
短所
  • 反射による苦痛。
  • バリウムがまずい(甘い匂いがついて昔よりはのみやすくなっている) 。
  • 検査後、腸の中でバリウムが固まって便秘がおこりやすい。


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