第20回:「女性に多い「切れ痔」と男性に多い「痔ろう」

お腹元気相談室

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Q

男女によって痔の種類が違うそうですね。女性に「切れ痔」が多いのは、便秘が原因だと予想できますがなぜ男性に「痔ろう」が多いのですか?

A

確かにいわゆる「痔」には男女による罹患率の差が見られます。

図のように痔核(いぼ痔)は男女差はみられませんが、裂肛(切れ痔)は女性に、痔ろう(穴痔)は男性に多く見られます。

切れ痔が女性に多い理由は、男性にくらべ女性は便秘になり易い事で説明が付くと思います。(詳しくは便秘の総合サイト:便秘ドットJPをご覧ください)
 しかし痔ろうはなぜ男性に多いのでしょうか?

痔ろうとは肛門の奥(直腸との境)にたまたまばい菌が入り込み、肛門の周りに作ってしまった巣のことです。

この巣は、ばい菌の活動と供に膿(うみ)を貯め、肛門周囲膿瘍という状態になると痛みや肛門の腫れを伴いますが、落ち着いているときには痛みは少なく、硬い索状物として触れたり皮膚の穴から膿(うみ)が出たり、痒みを伴ったりします。

しかし放置しておくと膿(うみ)を貯めるのを繰り返し、その度に巣が複雑化してしまうので、早いうちに巣を切除しなければいけません。(入院5日~14日)

  • 痔ろうのできる原因は
  • 下痢症(肛門腺に便が入りやすい)
  • 排便時に強くいきむ
  • 先天的に肛門陰窩が深い
  • 疲労やストレスにより肛門内の局所免疫が低下し、わずかの刺激で炎症が起きる

などがあげられますが、ほとんどの場合、運が左右するといわれています。(いわゆる原因がはっきりしないことが多いということです)

痔の種類における外来統計(『社会保険 中央病院調べ』)

 中には男性は女性よりも肛門陰窩が大きくて深いので細菌が入りやすいこと、肛門括約筋の力が強く、肛門陰窩に細菌が押し込まれやすいためという先生もいらっしゃいますが詳しくは判っていません。

また、痔ろうでも「浅い痔ろう」と「深い痔ろう」がありますが、「深い痔ろう」は体型の大きな方に多いという印象があります。これも原因はまだ明らかではなく、実際そんなことはない!という先生もいらっしゃるかもしれません。

生後2~3ヶ月以後の男児が多く発生する乳児痔ろうという病気があります。側方(横)発生や肥満児に多いなどの特徴がありますが、これもなぜ男児だけで女児には発生しないのかは判っていません。

治療として肛門周囲膿瘍(肛門の周りに膿)を発症している場合は切開(針などで)し排膿処置が必要であり、泣きじゃくる乳児を押さえつけての処置は母親の涙をそそる場面です。しかし、乳児痔ろうの場合、大体が1歳未満で自然治癒するので、根治手術を行なう必要はありません。


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